平成22年12月18日と19日、2日間に渡り、農商工連携プロデューサー育成塾2期生の実習に参加をさせていただきましたので、ご報告いたします。昨年は、東鳴子に実習に伺って、「農商工」というよりももっと大きく「地域全体での連携」のようなイメージでお話を伺ったことを思いだしながら、今回も勉強させていただきました。



東鳴子ゆめ会議 大沼伸治さん

大沼伸治さん18日土曜日は、まず、NPO法人東鳴子ゆめ会議の代表で、東鳴子で湯治旅館を営む5代目湯守りの大沼伸治さんからお話を伺いました。

東鳴子は、鳴子温泉郷の中にあって、駅ができた時期も他よりも若干遅かったそうですが、「御殿の湯」「伊達のお殿様の湯」として栄え、一時は「知らない同士のお客さんでも相部屋が当たり前」「廊下に寝ているお客さんもいた」というくらいに湯治客でいっぱいだったそうです。しかし、第一次産業の衰退とともに、湯治客の数が減っていきました。鳴子温泉郷は、温泉を中心に栄えてきた町、湯治客が買い物をするから酒屋や日用品店が存在し、湯治客が散髪をするので理髪店は食べていけた・・・しかし、湯治文化の衰退により、客足が減り、閉店を余儀なくされる店もでてきたころ、「なんとかしなくては、地域が存続できない」と立ち上がったのが、東鳴子ゆめ会議だったそうです。

東鳴子ゆめ会議では、「地域の垣根をはずすこと」からはじめ、東鳴子地区でのアートイベントによる集客や、たんぼ湯治による集客などに取り組んでいきます。これは、「農商工連携」とは言えないものの「農商湯連携」ですね。旅館だけではできない動きです。

また、鳴子温泉郷のよいところは、各団体の横連携。東鳴子ゆめ会議も、鳴子の米プロジェクトや鳴子ツーリズム研究会などの動きと一緒にイベントに取り組んだり、一緒に考えたりしています。「連携」という言葉は、「農商工」だけに限った言葉ではありません。産業間の垣根をとる、という意味では、非常に参考になる取り組みでした。



ビッグスター鳴子味庵 大澤 英里子さん

大澤英里子さん

続いて、川渡の飲食店「ビッグスター鳴子味庵」に勤務している大澤英里子さんからのお話を伺いました。

大澤さんは、学校卒業後、しばらく東京で仕事をしていたそうですが、8年ほど前に地元に戻り、お母さんの経営するお店で働いています。宮城に戻ってすぐは、肌荒れもひどかったのに、地元の野菜を食べ、温泉に入っているうちに調子がよくなり、野菜と温泉の威力に驚いたそうです。

現在は、野菜ソムリエの資格と温泉ソムリエの資格をとり、鳴子にくるお客さんにおいしい料理をふるまっています。平成21年から、仙台のNPO法人ファイブブリッジとの交流もはじめ、平成22年には「鳴子ひとツーリズム」という、鳴子や岩出山の生産者をめぐるツアーの企画もしたそうです。トマトの生産者、平飼いで鶏を育てている人、なんばんの加工をしている人、伝統こけしの職人など、大澤さんを通して、仙台に住む人たちに、鳴子や岩出山の魅力を知ってもらえたとのことで、こらちも「飲食店」を中心とした「連携」のよい形ではないかと思いました。

「農商工」に限らず、様々な連携のカタチがあるのだと実感しました。



おかしときっさ たまごや 宮本 武さん

宮本武さん翌19日は、鳴子温泉駅に移動し、駅前の「好日館」で、鳴子温泉地区(東、のつかない鳴子温泉)での取り組みについて宮本さんからお話を伺いました。「好日館」は、もともと魚やさんだったところ。中を改装して、絵ハガキなどの小物類のお土産を販売し、お茶もふるまっていただけるお休みどころとなっています。現在は、空き店舗を活用して、もう1か所同様にお休みどころにしているのだそうです。

車を利用してくるお客さんが増え、旅館に泊まると翌日商店街を通過して車で帰ってしまう人も多く、団体客も減ったので商店街を回遊する割合も減っているのだとか。そんな中、地元のみなさんが協力しあってイベントを開催したり、グッズを開発したりしているそうです。

宮本さん自身は、鳴子温泉駅前の商店街で、お菓子やさん(和菓子もケーキもつくるスペシャルな方です)を営み、喫茶店も開いています。宮本さんのお話のあと、宮本さんのお店に立ち寄った方も多くいたようですが、私も、そのひとり。宮本さん自身は「自分のお店が情報発信の拠点になればいい」とおっしゃっていましたが、まさしくそんな空間のお店でした。あらゆるものが「連携」をする場所、「ハブ」になる場所だと感じました。連携、連携といっても、どちらかが手をだし、もう片方も手を伸ばしていかなくてはできないこと、そっと短くだした手を、宮本さんが「ぐぃっ」と引き寄せる役割をしているように感じました。



鳴子の米プロジェクト 板垣 幸寿さん

板垣幸寿さん午後からは、また東鳴子に戻ってのレクチャーでした。板垣さんは、鳴子の米プロジェクトだけではなく、鳴子ツーリズム研究会などの活動もしている方で、川渡で「山ふところの宿 みやま」という旅館を経営しています。

鳴子の米プロジェクトは、NHKのドラマ「お米のなみだ」としてテレビ放送されて、ずいぶん有名になりました。もともとは、鬼首などの中山間地では米が育ちにくく、このような場所でもきっちりとおいしいお米がつくれるように、と古川の農業試験場で研究されたものでした。「ゆきむすび」と名付けられたこのお米は、モチモチとした食感が特徴で、冷めてもおいしいといわれています。おにぎりなどに向いていて、平成21年のおわりには「むすびや」というゆきむすびのおにぎりを食べられるお店ができました。

一番の特徴は、もちろんおいしさですが、「地域が買い支える」という点も大きな特徴です。お米の値段がどんどん下がっていって、農業者が食べていけないという時代がやってきつつある、そんなことに疑問や不安をいだいた皆さんが、結城登美雄先生のもと、「ゆきむすび」をどうやって地元が買い支えていけるのかが話合われたそうです。

農商工連携というと、「農」がつくって「工」で加工して「商」が販売をする・・・というイメージが強くありますが、この場合は、「農商」のダイレクトな連携ですね。現在では、個々のお客様からのダイレクト注文以外に、地元の旅館や飲食店などが購入してお客様に提供することも増えてきたそうです。また、仙台の駅弁会社が「買い支えてくれる」金額で購入してくれているそうで、宮城以外の方へのおいしい情報の発信も始まっているそうです。



最後にひとこと・・・

ほんの2日間でしたが、「連携」について、勉強になりました。「農商工連携」は、ともすると、単なる「農商工分担」と間違われてしまいがちです。「連携」という言葉の奥には、単に「ここの部分だけは当社がやります」というタテ割ではないものが感じられます。私自身も、第1期を卒業してから「農商工観光連携」をずっと考えています。「連携」という言葉を使えるような仕事の仕方ができるようにならないといけないなと、あらためて考えさせられました。これからも、がんばります!

鳴子の皆さん、2期生のみなさん、お世話になりありがとうございました。

幹事  稲葉 雅子


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